2008年04月14日

黒澤明監督「生きる」

黒澤明監督の映画「生きる」を見た(何故か見ていなかった)。

これ、名作中の名作!!

「生きるとは?」―――人間の存在を問う哲学的な内容なのだが、話の舞台も登場人物も「平凡(普通)」であるところに意味がある。
芸術性・大衆性・メッセージ性が見事に調和する要因。

結局、病気や「余命半年」という設定は今までの人生・自分を振り返るためのもので、黒澤の一番の意図はそこにない。
題が表すように、「生きること」「生きることの意味」に焦点が絞られている。
それは、主人公が命をかけてつくった公園で「命みじかし〜」と歌うシーンでの感動に結びついている。
「安易な感動」を人の死によって生むのではなく、「生きること」への問いかけが容赦なく行われているのであるぅ(←偉そう:笑)。

たぶん、「悟ること」に意味を見出す人は、好きになれないだろうし、黒澤の極端な視点は賛否をわけるだろうが、そこに価値があると思う。

この映画を見て黒澤の思想に興味を持って調べたが、やはりピーンときた思想に影響を受けていた。
ここで言いたいことは、思想によって芸術性・大衆性を失わせていないだけでなく、それらを高めていること。
芸術家の仕事。

感動した。
posted by Nanja-Kanja at 22:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画・本・舞台 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年03月24日

映画「死に花」

これ、いい映画!!

高級有料老人ホームに住む高齢者が、「このまま終わらせてたまるかっ!!」という思いを持って、銀行強盗をするという物語。

凄く漫画的なストーリーなのだが、人物・心理描写、社会背景などは実にリアルで、それらの要素がうまく絡み合って見事な作品に仕上がっている。
「コメディの要素」をうまく利用し、引き出したため、笑いと共に涙が存在している。このテーマをこのように描いた手腕は、お見事!!

高齢者の「なんか隔離されている」という思いや、葛藤、認知症の予防体操だけでなく筋トレにプールにエアロビに・・・やれる環境があれば健康のためにムキになってそれをやる姿、恋をする姿、性的な欲求、戦争体験が人格に大きな影響を与えていること、老人ホーム職員の高齢者の見方など、丁寧に取材したのがよくわかる。

こうした現実的な要素をシニカルに(社会に対する皮肉も相当混ざっているがそれがメインではなく)、或いは暗く重く描くのではなく、ありのまま「普通の人間」として、また明るく描いているのがいい。

ラストシーンでは、人間は先入観にとらわれない捉え方が大事だな・・・と思わされた。


なんか・・・僕は介護保険の分野に転職しようとしたが拒否反応が出て高齢者をどうしても好きになれずに断念した経験があるから(当然個人として尊敬できる人、好きな人はいるのだが、全体的に苦手)、こういう作品について書くのはどうかと思うのだが・・・(^0^;)

でもさぁ、実存的な問いかけに関係して、僕のような人間にも訴えるものがある作品だということは確か。

作品はあくまでも作品。
久し振りにいい映画を観た♪
posted by Nanja-Kanja at 04:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画・本・舞台 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする