皆さん、「迷犬ポチの部屋」にようこそ。
まずは、自己紹介から。
私の名前はポチ。人間にそう呼ばている。
犬は犬の限界を超えられぬからただの犬であるが、しかし、ただの犬ではない。
自分でいうのも何だが、高い知能を持つ天才犬だ。
どう頑張っても「ワン!!」や「ク〜ン」という言葉しか出てこないのが残念だ。
しかし、手段はある。
毎朝新聞を取るだの、足し算の答えのカードを口にくわえるだの、そんなことで賢さを示したりはしない。
今は、パソコンという便利なものがある。
器用ではないからキーボードを打つのに苦労するが、ニクキュウよりも爪の先端を使って打つ技をあみだしてから打ち間違えが減り、速くなった。
ただ、ここにも犬の限界があって、長時間イスの上に座って手を動かし続ける作業は、とても疲れる。
だから、少し打っては休み、少し打っては休み…この文章も、ここまで書くのに1時間近くかかった。
苦労して書いているんだ。このブログの記事、みんな読んでくれよな。
私には恋人がいる。名前は、ここではIさんにしておく。
私は雑種で、人間の影響を受けている犬仲間からも存在価値を低く見られる。
私の性格が少々ねじまがっているのも、先天的なものに加えて後天的なその要素が大きく関係しているのかも知れぬ。他にも、要因はあるが・・・。
恋人のIさんは、血統書付きの数10万の価値を与えられた犬だ。
私は、「俺なんかでいいのか?」と、差別的な目で人間や犬仲間に見られた時に思い、コンプレックスから一度、
「おい、お前も俺のことを価値が低い犬だと思っているだろ!!もう、別れる!!」
と言ってしまったことがある。
Iさんはその時、何も言わずに私の体をペロペロ舐めてくれた。
私は我に返り、恥ずかしくなり、私も無言のままIさんの綺麗に手入れされた美しい毛並みの体をペロペロ舐めた。
ところで、皆さんは全ての犬が人間に飼われること、従うことが好きだと思うかい?
鎖につながれ、飯を与えられ、勝手に出歩くことはできず、散歩の時もヒモでつながられているから自由はない。こっちで小便をするなここでフンをするなと、首を引っ張られ体を操られる。
少なくとも、私はそれが嫌なんだ。
この間も自分の存在価値がわからなくなり、ヤケを起こしてネギをバクバク食べた。
そしてIさんに、
「飼われるのが犬か?人間の都合に合わせて動く…感情労働だ!!陰ではどいつも飼い主の悪口や不満をグチグチ言っているのに、エサをちらつかされると『ク〜ン』だ。
おまけにお手、チンチン…そんなことまで平気でしやがる。
一番の問題は、俺もそんな犬であることだ。肉体とは、なんて不自由なものなんだ!!その要素は生まれ持った能力の限界と共に、個人ではない外部的な要因も関係しての不自由さだ。
Iよ、こんな俺を笑え!!」
と、ネギを食べてフラフラになりながら言った。
Iさんには、
「あなたの気持ちも分かるけど、あなたを含めた犬が飼い主に愛情を持っているのは確かでしょ?
物事は捉え方次第…ちゃんと立派な役割を担っているじゃない。
それに、首輪をつけないで外をフラフラ歩いてごらんなさい。また保健所に連れて行かれてしまうよ。沢山の犬を殺している場所に…。あなたの飼い主は、そこから引き取ってくれたんじゃないの!
批判や文句もいいけど、少しは現実的な幸せを、目の前にある幸せを見つめたらどうなの?」
と、言われた。
私は、
「お前は、俺の一番大事な部分を理解していないんだ。
路地裏に住む悪い奴らの仲間にでもなってやる!!」
と、言った。
が、Iさんは動じることなく、
「あなたが情を持っている犬だということはわかっている。だから、そんなに悩むのよ。プライドの高さ、雑種であること、保健所で引き取られたことも大きく関係しているけど…。でも、私は、あなたの根底にある優しさが好きなの。あなたが、悪い連中の仲間にはなりきれないのがわかる。なんなら、一度試してみたら?」
と、私の甘えをうまくかわした。
私は黙り込んでネギをバクバク食べ続けたが、私が私であるための大事な部分を全てではなくても受け止めてくれる人(犬)と出会えたことに幸せを感じ、それで全てが解決でき、納得できるわけではないが、普段余り持たない感謝の気持ちを持った。
おっと、私は「与えられるもの」だけで他者と一緒にいるような性格ではない。そこは、勘違いしないでほしい。
Iさんは、賢い犬だ。だが、私の賢さとは種類が違う。
Iさんも飼われているが、自立したものを感じる。それは、現実における社会的・肉体的限界を知った上での思考と行動から生まれるものであろう。
しかし、彼女もまた現実に対して肯定的な面が多いが、その上に夢を持つロマンチストで、情に脆い。
私も立場や環境の違いを越えて、彼女のそんなところがケンカの原因になるが、好きだった。
だから、出来る限りのことを彼女にして、愛情を示している。
普段他者には見せない涙を私の前で流す度、孤独な暗闇で輝く月の光になりたいと、思う。
実際できているかは、知らないが。
さて、もうすぐ家の人が帰ってくる。
私はこの後、いつもと同じく散歩に行き、エサを食べる。
今日はここでおしまい。読んでくれてありがとう。
これからもこのブログをよろしくm(_ _)m
2008年05月22日
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